■2016.10.6
琉球漆器こぼれ話③ 金城聡子/浦添市美術館学芸員
沖縄の獅子舞は中国から伝来したといわれ、
豊年祭や十五夜祭に演じられます。
悪霊を追い払い五穀豊穣をもたらす地域の神様です。
本島では一頭、宮古・八重山諸島では雄雌一対。
獅子頭は赤や緑色に塗られ、毛も単色・五色と見た目も様々。
ご縁があり、昨年は那覇市首里末吉町、今年は浦添市勢理客の
本獅子をお迎えして展示する機会に恵まれました。
外へは代理の獅子が派遣されるので本獅子をお迎えできることは
大変貴重な機会なのです。
獅子頭は沖縄県花の梯梧(デイゴ)の木で作ります。
デイゴは木目が粗く、乾燥させると軽くなり最適です。
彫りは地元の名人や職人の手によります。
これに漆器づくりと同じように下地を施して漆を塗りますが、
戦後は代用漆が使われています。
「目を入れるのが一番難しい」と末吉の獅子頭を手掛けた漆芸家の松田勲さん。
獅子の頭と尾には馬の毛、胴は芭蕉など全てが天然の材料ですから、
その調達も今は大変です。
末吉の獅子は勇壮な顔立ちにぴったりの激しく荒々しい舞い、
勢理客は丸みのある雌獅子で愛嬌があり、呼吸したときの腹の動きまで再現した
繊細な動きが特徴で国の無形民俗文化財に選択されています。
対照的な二つの獅子舞は実に見事なものです。
写真
赤い獅子「那覇市首里末吉町の神獅子」金城撮影
緑の獅子「浦添市勢理客の本獅子」金城撮影