琉球漆器こぼれ話 ⑨ 金城聡子/浦添市美術館学芸員

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久しぶりの投稿です。

今回は沖縄県外の皆様へも琉球漆器を存分にご覧いただける展覧会をご紹介します。

 

東京港区六本木のミッドタウンにあるサントリー美術館で「琉球 美の宝庫展」が

開催されています。(7月18日~9月2日まで)

あまり知られていないことですが、サントリー美術館と沖縄、そして浦添市美術館の

関係には素敵な歴史があります。

 

サントリー美術館は1961年に「生活の中の美」をテーマに開館しました。

そのコレクションの核の一つに紅型と琉球漆器があります。

折にふれ、沖縄関係の展覧会を開催していますが、大きな功績の一つに1972年の

「特別展観 50年前の沖縄-写真でみる失われた文化財-」展があります。

大正時代の沖縄を写し残した鎌倉芳太郎氏の写真展です。

同館はガラス甲板を焼いて世に出した立役者で、その後『沖縄文化の遺宝』(岩波書店)が

出版されました。そのお陰で私たちは戦争で失われた沖縄の姿を知り、

文化財の研究も飛躍的に進みました。

また、浦添市美術館では1991年に、サントリー美術館では1994年に、

お互いの所蔵品の交換企画展を開催しました。

 

今回の展覧会は染織・絵画・漆器を柱に尚王家の遺宝の数々も展示されています。

漆器は尚王家の祭祀道具の美御前御揃を一式、サントリー美術館や美ら島財団所蔵品のほか、浦添市美術館からも県指定・市指定の優品21点を出展しています。

私は初日の朝一番で観覧しましたが圧巻の内容でした!

実は、「美の宝庫」という展覧会のタイトルをうかがったとき、斬新なネーミングで

少し照れくさい気持ちになりました。しかし、館内を一巡して素直に「これでいい」と

思えました。

私が注目したのは、この展覧会で琉球絵画の代表作が一堂に並んでいることです。

なんせ、絵師は絵画のみならず漆器や染織品の下絵、デザインを担当しました。

こうした貝摺奉行所の絵師の作品と漆器を一緒に見る機会はそうありません。

漆器の下絵も展示されています。

 

展示室に一歩進むと夏の暑さや都会の喧騒を忘れ、どの展示品も私たちを琉球王国に

誘ってくれているような錯覚を覚えます。

ぜひとも、お出かけください。

 

 

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2018年7月18日(水)から9月2日(日)まで
火曜日休館(8月14日は18まで開館)
開館時間10時から18時(金土は20時まで)いずれも入館は閉館の30分前まで
サントリー美術館(六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階
入場料一般1,300円、大学・高校生1,000円、中学生以下無料

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