琉球漆器こぼれ話 ⑤金城聡子/浦添市美術館学芸員

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今は沖縄も新暦の正月を祝うのが一般的です。お仏壇のある家や、

しきたりを重んずる地域では旧暦も祝いますから

正月が二回あるというわけです。

琉球王国時代は元日の早朝から国王は大忙しです。周辺のお寺を参り、

城内でも様々な儀式が執り行われる国家の一大行事でした。

儀式の道具には漆器が活躍しますが、中でも足付きの丸盆は

食籠(じきろう)や酒器、茶碗などを高々と置いて飾り、運ぶ道具です。

盆の鍔や足の裾はカーブを描く琉球独特の曲線美。

巻胎(けんたい)という、ループ状の木材を巻いて形作る方法で

中国や東南アジアに共通する技術です。朱色に王家の紋章の

左巴紋(ヒジャイグムン)と牡丹唐草や七宝繋ぎ文様を

沈金(ちんきん)技法の金線で描きます。

盆を使っている様子は毎年の首里城公園正月イベント

「新春の宴・大通り」でご覧いただけます。

一般のお宅では正月飾りといえば鏡餅ですが、旧家では仏壇の

正月飾りがあり、二段食籠に米を盛り、炭を立て、

みかん(九年母)を飾るようです。

久米島の上江洲家(国指定重要文化財・公開中)では

お仏壇の前に九角形の足付き盆と二段食籠が飾られます。

八角形ならぬ九角形は独特で、上江洲家に由来する形と考えられます。

「久米島」の「く」かもしれません。八重山(石垣島)では、

四段の重箱を用いて正月飾りを行いました。

今ではこうしたお飾りも目にする機会が少なくなりました。とはいえ、

一年の無事と幸せを願う行事は大事にしたいものです。

 

 

写真:朱漆牡丹巴紋七宝繋沈金足付盆 浦添市美術館所蔵

久米島上江洲家の仏壇正月飾り 1999年1月金城撮影

『八重山蔵元絵師画稿集』 石垣市立八重山博物館編集より

左が正月、右が盆の仏壇飾り

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